頸部の症状

肩こり

肩こりのイメージ画像

首や背中の筋肉がこわばった状態が続くと、肩こりになります。デスクワークで長時間の作業をしている人、姿勢の良くない人、運動不足の人によく起こります。ストレッチングや筋力トレーニングなどを行うと、肩こりが軽くなることが多いのですが、首筋の張りや痛みが治まらない人は医療機関での治療が必要となります。

頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨のクッションの役割をしている椎間板が後方に飛び出すことによって起こります。悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になるのですが、特に目立った誘因がないのに発症することもあります。主な症状は、首や肩の痛み、腕や手のしびれです。悪化するにつれて手の動きが悪くなり、以前ならば簡単にできた作業や運動が行えなくなります。

頚椎症性脊髄症

頚椎症が進行すると、椎間板が膨れ上がってきたり、骨のとげが形成されたりします。こうした変化によって頚椎の脊柱管の中にある脊髄が圧迫されてくる疾患が「頚椎症性脊髄症」です。主な症状は、手のしびれです。お箸が使いづらい、ボタンがかけづらい、字が書きにくくなった、歩行時につまずきやすくなった、などの症状で日常生活に支障をきたしている人は、お早めに当クリニックをご受診ください。

頚椎後縦靱帯骨化症

後縦靭帯は椎体の後面を走行しており、椎間板が後ろにずれていかないよう支える役目を担っています。頚椎後縦靭帯骨化症は、この部位が分厚くなって骨のように硬くなってしまう状態です。脊髄が圧迫されてくるので、以下のような症状が出現してきます。

  • 手足がビリビリ・ジンジンしびれる
  • 手足の感覚が鈍くなる
  • 手指の細かい運動がぎこちなくなる
  • お箸がうまく使えない
  • ボタンのかけ外しがうまくできない
  • 足が突っ張る
  • ちょっとした段差でもつまずくことがある
  • 階段の上り下りがこわい
  • うまく歩けない など

肩の症状

肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)

肩関節周囲の組織に炎症が起きている状態です。関節を構成する骨や軟骨、靱帯、腱などが老化してくることで発症しやすくなります。中年以降、特に50歳代に多くみられるのですが、40歳代で起こることもあり、それぞれの年齢ごとに「五十肩」、「四十肩」とも呼ばれます。肩関節の痛みがあるので、髪を整えたり、服を着替えることが不自由になります。夜中にズキズキ痛み、ときに眠れないほどになることもあります。肩関節を動かすときに痛みを伴いますが、あまり動かさないでいると症状が悪化します。適度なリハビリテーションを行い、肩関節の動きをよくする肩峰下滑液包や関節を包む袋が癒着しないよう気をつけてください。

肩腱板損傷

肩の表面は三角筋という大きな筋肉で覆われています。その下の層には、体幹から上腕骨頭を取り囲む腱の複合体がみられ、これを腱板といいます。転んで肩を打ったり、加齢などで腱板が劣化することによって腱板が切れることがあります。これが「肩腱板損傷」です。突然、強い痛みが起こることも多く、夜寝ているときに目覚めてしまうこともあります。自力では腕を挙げることができず、周囲の人に支えられた手を離すと、上腕が落ちてしまうこともあります。

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎は、肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる疾患です。特に40~50歳代の女性にみられることが多く、肩の痛みや運動制限によって仕事などにも影響が出ます。昼間は痛みがあまりないのに、夜間に突然、激烈な肩関節の疼痛が起こったりします。

反復性肩関節脱臼

外傷による肩関節の脱臼は、ラグビー、アメフト、柔道などのコンタクトスポーツをされているアスリートによく起こります。一度脱臼してしまうと、その後も脱臼しやすくなります。脱臼の回数を増すごとに軽微な外力で起こるようになるのです。このような状態になるとスポーツ活動ばかりでなく、寝返りのような日常動作でも脱臼が起こってしまうので、スポーツ整形外科などを受診するようにしてください。

インピンジメント症候群

インピンジメント症候群は、肩を上げていくとき、ある角度で痛みや引っかかりを感じ、それ以上に挙上できなくなる状態です。悪化するとこわばりや筋力低下なども伴い、夜間痛を訴えることもあります。肩を挙上するとき、あるいは挙上した位置から下ろしてくるときに強い痛みを感じるようになります。

腰の症状

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎の椎間板は、椎体の間にあり、背骨に加わる衝撃や体重を緩和するクッションの役目を担っています。この椎間板の一部にヘルニアが起こって神経を圧迫すると、腰や殿部の痛み、下肢のしびれや痛みが強まり、足に力が入りにくくなります。通常は消炎鎮痛薬を内服しながら安静にしていれば、痛みなどの症状が和らぎます。しかし、完治したわけではありませんので、整形外科での治療をお勧めいたします。

腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性すべり症

脊柱管狭窄症は、脊髄の神経が通るトンネルが狭くなっている状態です。中高齢者になると、椎間板が変性しやすくなり、脊柱管の内側にある黄色靱帯が厚くなっていきます。これによって神経にも影響が及ぶようになり、痛みなどの症状が出現します。但し、初期の段階では症状が継続しません。歩行によって下肢痛やしびれ感が発症するのですが、しばらく休息をとると痛みは消失していき、再び歩行できるようになります。

腰椎変性すべり症も、腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。すべり症では腰椎がずれることによって脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されることにより下肢痛やしびれ感が発症します。

ひじの症状

肘内障

肘内障は、肘の靱帯から肘の外側の骨がはずれかかることによって起こります。子供の手を強く引っ張った後などに、痛がって腕を下げたままで動かさなくなります。5歳以下の子供にみられることが多く、成長とともに患者様の数は減っていきます。

上腕骨顆上骨折

転んだ際に手をつく、あるいは鉄棒から転落した後で肘が動かせなくなったときは、この骨折を疑います。主に肘の部分に激しい痛みと腫れが生じます。骨片で神経や血管が損傷されると、手や指がしびれたり動かせなくなることがあります。子供にはよくみられる骨折です。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

物をつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みがあります。中年以降のテニス愛好家に生じやすいので、一般的には「テニス肘」という名前でよく知られています。主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。

野球肘

成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の障害です。野球のピッチングなどで肘を酷使することが主な原因です。しばらく練習を休んでいると痛みが治まりますが、投球を再開すると肘が痛くなります。肘の伸びや曲がりが悪くなり、急に動かせなくなることもあります。

肘部管症候群

肘に負担をかけ続けることにより、尺骨神経に圧迫や牽引などが加わって生じる神経の障害です。初期の段階では小指と薬指の一部にしびれ感がでます。進行するにつれて麻痺が強まります。また手の筋肉も弱ってしまい、小指と薬指が変形していきます。

手の症状

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折は、手をついて転んだり、自転車から転んだりしたときに起こります。お子様や高齢者の方は、ちょっとした外力によって骨折することがよくあります。骨折の程度が軽症ならば、患部を固定しておくだけで大丈夫ですが、骨が粉砕していて修復が難しいケースの場合は手術が必要となります。

マレット変形(槌指)

いわゆる突き指の一種で、ボールなどが指先に当ったときなどに起こります。手指の第1関節が曲がったままで腫れや痛みがみられます。それだけでなく、自分で伸ばそうと思っても指を伸ばすことができません。さらにマレット変形は、腱が切れていたり、骨折を起こしていることもあります。

腱鞘炎・ばね指

指の曲げ伸ばしを自由自在に行うためには、その部位の腱が正常に機能していなければなりません。腱鞘炎になると、靱帯性腱鞘と屈筋腱の間が腫れてきます。これに伴って指の付け根に痛みや腫れ、熱感が生じます。腱鞘炎がさらに進行すると、屈筋腱の太い部分がうまく腱鞘を通過できなくなり、ばね指となります。痛みを伴うため、患部をあまり動かさなくなる方も多いようですが、安静にしていると関節の拘縮をきたすことがあるので、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

ドケルバン病は、手関節の母指側にある腱鞘とそこを通過する腱に炎症が起こった状態です。親指を広げたり、動かしたりするときに強い痛みが起こります。仕事で手を酷使する方、競技スポーツを行っている方によくみられます。また、出産後の女性に起こることもあります。

手根管症候群

手関節の真ん中あたりには手根管というトンネルがあります。手根管症候群は、このトンネルの内部で正中神経が圧迫された状態をいいます。主な症状は、親指から薬指のしびれ感です。詳しい原因は明らかになっていませんが、仕事やスポーツで手を使い過ぎる方によく起こります。妊娠・出産期、更年期の女性、骨折などの怪我の後のほか、人工透析をしている方にも生じやすいと言われています。

へバーデン結節

それぞれの指には3〜4か所の関節がありますが、へバーデン結節は第1関節が腫脹したり、変形して曲がってしまう疾患です。痛みを伴うことがあります。詳しい原因は不明ですが、40歳代以降の女性に多く発生します。

母指CM関節症

親指の付け根の関節が変形する疾患のひとつです。物をつまむ時やビンのふたを開ける時など、親指に力をこめる動作の際に痛みが生じます。進行すると、骨と骨がこすり合ってしまうため、親指の付け根付近の痛みが強まります。

ガングリオン

ガングリオンは全身のさまざまな部位にできますが、特に多いのが手関節の周辺です。腱鞘のある場所にゼリー状の物質が詰まった腫瘤ができます。患部が膨れ上がってきますが、通常は痛みを伴いません。しかし、神経の近くにできたときは、手を動かすたびに神経が圧迫され、しびれや痛み、運動麻痺などを引き起こします。

股関節の症状

変形性股関節症

変形性股関節症の主な症状は、関節の痛みと可動域制限です。立ち上がるときに痛みが強まります。初期の段階では歩けますが、だんだんと痛みが強まり、歩けなくなります。足の爪切りが困難になる、靴下が履きにくくなる、手すりにつかまらないと階段昇降ができない、などの症状もみられます。主な原因は、先天性の股関節脱臼、股関節の形成不全などの後遺症です。乳児健診のときに開排制限が認められ、整形外科で確定診断されたような方は、変形性股関節症になるリスクが高いので、定期的に医療機関を受診することが大切です。

臼蓋形成不全

臼蓋は、股関節の大腿骨を受ける骨盤側のくぼんだ部分です。この臼蓋が浅い状態のことを「臼蓋形成不全」と呼んでいます。小児期の臼蓋形成不全は超音波検査やX線検査を行った際に診断されますが、目立った症状が出ることはまれです。しかし、成人になると変形性股関節症になる可能性が高く、この場合は股関節の痛みや可動域制限などの症状が出現します。

特発性大腿骨頭壊死症

大腿骨頭は血管が少ないため、何らかの要因によって血流障害を起こすと、この部位の骨が壊死してしまいます。壊死してしまった範囲が大きいと、自分の体重を支えきれなくなり、骨が徐々に潰れていきます。これにより、股関節痛、歩行困難、可動域制限などの症状が出現します。このような大腿骨頭壊死のうち、原因がはっきりしていないケースを「特発性大腿骨頭壊死症」と呼んでいます。男性ではお酒の飲み過ぎ、女性ではステロイド剤の服用に関連して生じることが多いと考えられています。

ひざの症状

変形性膝関節症

変形性膝関節症の主な症状は、立ち上がるときの痛み、歩きはじめの痛みです。正座や階段昇降も困難となります。関節の状態が悪化すると、安静時にも痛みがとれず、まったく歩けなくなることもあります。主な原因は、関節軟骨の老化です。加齢に伴って関節軟骨が徐々に弾力性を失い、すり減っていくと、膝関節が変形していきます。骨折、靱帯損傷、半月板損傷などの後遺症として発症することもあります。

半月板損傷

半月板は、膝関節の隙間にある組織のひとつです。膝の負荷を和らげるクッションとしての働きと、膝の曲げ伸ばしの際に下肢を安定させる働きがあります。半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。進行すると、膝に関節液がたまったり、急に膝が動かなくなったりします。痛みが強くて歩けなくなる患者様もいらっしゃいます。

膝関節靭帯損傷

膝関節靭帯損傷は、スキーやサッカーなど、膝に負担がかかるスポーツを行っているときによく起こります。交通事故の際にも、大きな力が膝に加わることがあり、その外力の方向に応じて種々の靭帯損傷を生じます。受傷後3週間ごろまでの急性期は、膝の腫れや痛みが強く、可動域制限もみられます。しかし、急性期を過ぎると痛み、腫れ、可動域制限はいずれも軽快していきます。これらの症状は治まるのですが、損傷部位によっては膝の不安定感やぐらつきを感じるようになります。

オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病は、膝下のすねが隆起してきて、痛みを伴うようになる疾患です。運動を続けると痛みが強くなり、安静にしていると症状が改善します。特に、発育期のスポーツ少年に起こりやすいと言われています。10~15歳の成長期のお子様が、走ったり、ジャンプやボールを蹴るスポーツをし過ぎると、発症します。主な原因は、脛骨結節の継続的な負荷です。膝蓋骨に付着している靭帯は、膝を伸ばす力の繰り返しによって大きな緊張力がかかります。このような動作が続くと、脛骨結節の成長軟骨部が痛めつけられ、炎症がおこります。

ジャンパー膝(大腿四頭筋腱付着部炎・膝蓋腱炎)

大腿四頭筋腱付着部炎は、サッカーやランニング、バレーボールなどダッシュやジャンプをすることの多い競技の際によく起こります。主な症状は、大腿四頭筋付着部の痛みです。スポーツを行っているときだけではなく、歩行時、階段の昇降時にも痛みます。膝蓋腱炎も、ダッシュやジャンプをすることの多いアスリートにみられます。主な症状は、膝蓋靱帯付着部の痛みです。

鵞足炎(がそくえん)

鵞足炎は、膝の鵞足(がそく)と呼ばれる部分が炎症を起こしている状態です。膝関節の曲げ伸ばしを繰り返すと、この部位に負荷がかかります。ある程度までは特段の炎症や痛みが生じないのですが、不適切なトレーニングメニューを続けていたり、肥満体系で膝に負担がかかりやすかったりすると、鵞足に炎症が起こってしまい、運動後に痛みを感じることがあります。

ランナー膝(腸脛靭帯炎)

腸脛靭帯炎は、主に長時間のランニングを行うことにより、膝の外側が痛くなってくる疾患です。陸上の長距離種目を行っている人によく生じるため、ランナー膝とも呼ばれています。腸脛靭帯は、右殿部より大腿骨の外側を通って、脛骨の外側につながっています。膝の曲げ伸ばしのときには、腸脛靭帯が大腿骨の外側の出っ張り部分にこすれます。長距離ランナーの場合、この腸脛靭帯が何度もこすれてしまうので、炎症を引き起こすようになります。

足の症状

足関節捻挫

足関節捻挫は、足首の関節を支えている靭帯や関節包が損傷している状態です。足首を内側へひねった際に外力が加わり、足関節外側の靭帯が損傷することが多いとされています。捻挫自体は日常的にみられますが、特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなどのスポーツ活動中によく起こります。

アキレス腱断裂

アキレス腱に急激な外力が加わったときに起こります。踏み込みやダッシュ、ジャンプなどの動作時には、ふくらはぎの筋肉が急激に収縮してしまい、アキレス腱が断裂することがあります。着地動作の際にも、急に筋肉が伸ばされてしまい、断裂してしまうこともあります。いずれの場合も、ふくらはぎをバットやラケットでたたかれたような衝撃を感じることが多く、歩行が難しくなります。学齢期のスポーツ選手にも起こりますが、バドミントンやバレーボール、テニス、サッカーなどのスポーツを行っている20〜30歳代の方にもみられます。運動前には、足首のストレッチングなどを十分に行うようにしましょう。

肉離れ

筋肉の一部分が断裂した状態をいいます。スポーツ中にダッシュしたりすると、筋肉が急激に収縮します。通常はその負荷にも耐えられるのですが、準備運動などを怠っていると、肉離れが起こってしまうのです。特に、大腿部の裏側、ふくらはぎの内側に起こることが多いです。

外反母趾

外反母趾は、足の親指の付け根が外側に変形した状態です。第1趾の付け根の関節が靴に当たってしまうので、患部が炎症を起こして赤く腫れていきます。ひどくなると、靴を履いていなくても痛むようになります。

アキレス腱炎

ふくらはぎの筋肉の腱に相当するアキレス腱に炎症が生じた状態です。長距離を走ったりすると、アキレス腱にも繰り返し運動負荷がかけられるため、痛みを感じるようになります。初期の段階ならば、しばらく運動を中断することで炎症も治まります。しかし、運動を続けていると痛みが常態化してしまいます。そのようなときは整形外科をご受診ください。

足底腱膜炎

足底腱膜は、かかとから足趾の付け根につながっている分厚い組織です。この部位が炎症をきたすと、朝、起床して最初の1歩目にかかとや足底部に痛みを感じます。主な原因は、足底腱膜に対する強い衝撃です。ランニングやジャンプ競技などのスポーツ選手に多くみられます。この他、長時間の立ち仕事、長時間の歩行、肥満の方もリスクが高くなります。

有痛性外脛骨

外脛骨は、足の内側にある少し出っ張っている骨であり、後脛骨筋腱という腱に付着しています。マラソン競技などで後脛骨筋腱が繰り返し引っ張られると、この部位に炎症をきたし、痛みが出現します。そのようなときは、しばらく運動を中断し、足を休ませることが大切です。